資金繰りが苦しい企業のためのセーフティネット融資の真価とは?

中小企業の融資制度の中には、セーフティネットと呼ばれる制度が存在します。この制度の特徴は、経済不信によって経営に深刻な悪影響を受けた中小企業を守るために作られた安全策という位置づけです。このセーフティネットの内容について、今回は簡単に説明していきます。
セーフティネット制度は、1号から8号まで定義があり、そのどれかに該当していれば、この制度の恩恵を受けることができます。ここでは、その具体的な内容についてみていきます。
1号は連鎖倒産を防止する目的です。民事再生手続きをおこなっている大企業に対して債権があり、それによって資金調達に支障が出ている中小企業に対しての支援策です。
2号は取引先企業のリストラ等の事業活動の制限、つまり、生産や販売等の事業縮小の影響を受けた中小企業を救済する目的で作られています。大企業がこのような事業縮小をすれば、下請けである中小企業への発注数が激減し、それによって中小企業の経営が急激に悪化することに対しての緩衝材としても役割を持っています。
3号は事故等の原因による突発的災害に対しての措置です。ここでいう事故とは、人為的な原因による事故を指します。従業員や経営者、取引相手などに影響を与える事故が発生した場合、経営を維持するために、保証付きの融資を受けることができます。
4号は自然災害を原因とする突発的災害に対しての保証です。この場合、融資の対象になるのは、災害地域内に1年以上の事業を継続的に展開しており、災害を受けたあとの3ヶ月の利益額が、前年同月期の平常時の利益に比べて20%以上落ちた場合です。
5号は業況の悪化している業種の中小企業です。業況が悪化している業種というのは、認定概要という資料が存在し、毎年変わっています。そこに定義されている業種で、かつ、各自治体の長の認可を得た中小企業が対象となります。
6号は取引金融機関の破綻による経営不振に対する措置です。簡単に言えば、今まで取引や融資をしていた金融機関が破綻した場合、中小企業は資金繰りが一気に厳しくなるので、その中小企業を支援するという名目で、融資を受けられるようにするのです。
7号は金融機関経営の合理化に伴う金融取引の調整と言われるものです。7号と次に紹介する8号は若干わかりにくいので、まとめて説明します。8号は金融機関の整理回収に対しての貸付債権の譲渡です。この二つは、金融機関の合理化によって、中小企業が悪影響や損害を被ったとき、ほかの金融機関が一時的に、中小企業に保証付きの融資を与えることができるシステムです。ここでいう合理化とは、金融機関の事業縮小に伴う支店の減少、つまり、普段取引に利用していた最寄りの金融機関が無くなってしまった場合などを指します。
以上8天のうち、該当するものが一つでもあれば、セーフティネットを利用することができます。中小企業にとって、このような救済策は非常に重要になります。特に重視されるのは1号、5号の二つです。中小企業は、その大半が大企業と何らかの関わりを持っています。大企業ほど景気の影響を受けやすいものはありません。そのしわ寄せが中小企業に来るのを防ぐのがセーフティネットなのです。

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